Toshio Kamitani Design

旨い字が描きたい デザイン書道作家 熊野井乃[読書館]

2016/11/02

旨い字が描きたい 熊野井乃著[読書館]発行

☆☆☆☆☆

 

仕事でよくカリグラフィーを書いてもらってる

本当に長いおつきあいの書家

熊野井乃さんが本を出版されました

タイトルは

「旨い字が描きたい」

上手いでなく旨い

書きたいでなく描きたい

となってるところがミソで

センスですね!

とてもいいです

 

日頃私達デザイナーは

とんでもない注文をしている事に気づきます

特に食品のパッケージデザインにおける書って

相反する要素を組み込まないといけないから

大変というか理不尽というか・・・

僕が書家だったら匙を投げ出してしまうでしょうね!

「読みやすいけど楷書でなくて個性的で」とか

「勢いがあって力強いけどフォントのように読みやすく」とか

「新商品なんですが老舗感な文字で」とか

挙げ句におまかせ=丸投げ(笑)では

「旨そうな文字」とか!

 

そう

結局は「旨そう」な文字に行き着いてしまうんですね

そして熊野さんは

「旨い字」を書きたいと思う

いや「書きたい」じゃなく

デザイナーが持っている口では言い表せないイメージを

「描きたい」と思うそうです

そんなお互いの知的なやり取りの中で

モノは生まれる

ほとんどのデザインも文字も

日の目を見ないのが現実だけれども

クリエイターにとっては

それらは決して無駄ではなく

血となり肉となり

クリエイターの基礎体力と基礎知力になると

僕は信じています

book_kumano_umaiji

熊野さんの素晴らしい書の世界と

書についての考え方を

是非この本で知ってほしいと思います

巻末には私が末席を汚していますが

なかなかにいいこと書いてますよ!(笑)

Kamitani Toshio