Toshio Kamitani Design

アートがわかると世の中がみえてくる 前崎信也[著]

2021/03/22

最近アートとビジネスを繋げる書籍が多い
それは現状のビジネスの打開策としての
アート的発想が必要だという戦略だ
僕的にはその感覚はわかるけれども
凡人がそれを実践するのは至難の技でしょうね!

この書籍もその手の本かなと
書店で目次をパラパラとめるくと
どうも違うみたい!
ということで購入しました

この本は一言でいえば
「日本美術がいかに美術になったのか?」
という内容でした

パリ博に日本の美術工芸を紹介するために出品した
器をくるんでいた浮世絵が
印象派の画家たちの目にとまり
影響を与えたという話は有名ですが
そのパリ博の時にかの福沢諭吉氏が
「日本ならではの文化とは?」を定義したそうです
その当時は日本は中国が憧れの国であった
日本の美術工芸的なものの多くは
中国のコピーだった
そうではない日本独自のもの
それは元は中国のものだったのを
日本独自にアレンジしたものが選ばれることになる
茶道はその典型だという

またそんな日本の文化芸術作品を育ててきた
男のお金持ちたちが
お互いのコミュニケーションのためにしていた茶道が
女性の教養のためにとってかわり
男たちはゴルフへ向かったとのストーリーは
ちょっと目から鱗でした

若冲をはじめ日本の芸術がなぜ海外に流出していったのか?
その原因として日本の美術教育の問題にも指摘
なるほどなと納得しました

くくりでは
このままでは日本の芸術文化はどんどん衰退していくと
懸念をされていました
現代アートでは個人作家がアピールしているけれど
いわゆる伝統芸術は国が保護し世界にその価値を
もっと伝えないといけないという

いろいろな意味で考えさせられる内容でした
今の日本の閉塞感の一要因もここにあるのかなと思いました

Kamitani Toshio