滋賀県諏訪家での個展の初日の昼ごろ

お母さんと小さな女の子のお客様が来られてた

小学校3年生くらいの女の子で

お母さんのつきそいで来てくれたのかなと思っていました

2人は結構長く作品を観ておられてました

近くにいって作品の説明でもしたらよかったのかもしれないけど

他のお客様もおられたので遠目で見ていた

お二人が帰られる時に

「熱心に観ていただいてありがとうございます

　変な絵でしょう？」と笑いながら語りかけました

「いえいえ　とても面白いです！」とお母さん

つづけて

「実は娘がずっと楽しみにしていて

　一週間前にこちらに来たんです

　でもまだ始まってなくて…」とお母さん

「えっ！　お嬢さんが私の作品を観たかったんですか？」と僕

「はい　娘は展覧会のチラシを毎日眺めてたんですよ」とお母さん

お母さんの隣にいたお嬢さんを見て

「面白かった？」と聞いたら恥ずかしそうにうなずいた

「ありがとうございました」とお礼を伝え

お二人は帰られた

 

それからはしばらく接客していた

ふと外を見ると諏訪家へのアプローチにあるベンチに

今回の展覧会のカタログを手に

先ほどのお二人がベンチに座って見ていた

そのお二人の姿と

女の子が早く観たいために

一週間日にちを間違えて来た！ということを思い出し

今まで三回の個展で作ったカタログ三冊を手に

駆け寄ってお二人に渡した

女の子はニコッと笑っていた

 

自分の作ったものが人に響くことが

なによりも嬉しい

まして

こんな小さな子供さんが

こんなに楽しみにしてくれていたなんて

思ってもみないことでした

 

Kamitani Toshio